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駅と駅舎を巡る鉄道の旅
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石見川本駅
石見川本駅
いわみかわもと
路線名
JR西日本 三江線
所在地
島根県邑智郡川本町
開業日
1934(昭和9)年11月8日
訪問日:2007/06/28
島根県の江津と広島県の三次を結ぶ三江線が全通したのは、昭和50年のこと。しかし、最初の区間が開通したのは昭和5年というから、全線が開通するまでに45年という年月がかかっている。この石見川本駅までは昭和9年という早い時期に開通しており、青い瓦をのせた大柄な駅舎は、ほぼその当時のままなのだろう。
そんな悲願の開通を果たした三江線だが、平成18年7月の豪雨の際に沿線各所で土砂災害が発生。全区間で列車の運行を中止し、バスおよびジャンボタクシーによる代行運転を余儀なくされた。その後復旧工事が進み、同年12月からは浜原〜三次間で運転再開、そして平成19年6月16日には、全線で列車の運転が再開されるに至った。
とはいえ過疎地帯を走る三江線は、運転本数が少ない閑散路線。この石見川本駅を発着する列車も、上下5本ずつである。この日三次から乗ってきた列車は、12時7分に石見川本に着くが、その先に行く列車は13時54分までない。なんでこんな不便なダイヤにするのかと思うが、その先に乗り継ぐ乗客は私のほかにもう一人の旅行者がいただけだった。
しかも、ここまで乗ってきた列車がそのまま次の江津行になるのだ。研修中なのか乗務員が4人も乗っており、そのうちの一人に聞くとこのまま全員江津まで行くという。エンジンを切ったディーゼルカーも、運転士も、車掌も、乗客も、2時間近い昼休みだ。
先ほど話しかけた乗務員の方に、昼食はどうするのかと尋ねてみる。「駅前をちょっと行ったところにAコープいうスーパーがありますんで、そこで買ってきて中(詰所)で食べます」といって皆で駅を出て行った。
さて私も昼食をと思い見回すものの、平日昼過ぎの駅前はご覧のとおり。東京なら、サラリーマンたちがランチを求めて路上にあふれている時間帯である。とりあえず町内を一周するとなんとなく良さそうな食堂があった。入ってみると、昼食時にもかかわらず客は誰もいなかった。これはハズレだったかと心配になったが、出てきた親子丼の味は大当たりだった。
店のおかみさんに代金を払いながら、三江線が復旧してどうですか?と聞いてみた。
「どうって...別に...私らはあんまし使わないもんでねえ。学生らにはよかったと思うけど」
そういう答えが返ってくるかもしれないことはわかっていたが、実際に駅前住人の言葉として聞くと、正直ショックではある。でもやっぱりこれが現実なのだ。鉄道を感傷だけで走らせることはできない。
食堂を出てもまだ昼休みは40分以上残っていたので、江の川(ごうのかわ)に架かる川本大橋まで行ってみた。交通量はそこそこ多いのに歩道がないので危なっかしい。しかし、石見川本駅と江の川を一緒に眺められる絶好の展望所である。これほどいじらしい鉄道風景が見られる駅もそうはない。
駅も町も、すっかり周囲の風景にとけ込んでいる。それなのに、鉄道が人々の生活に入っていけないのはどうしてなのか。とはいえ、三江線のあの運転本数では、どんどん利用しろというほうが無理だろう。
中国地方最大の河川という江の川が、悠々と流れる。そのほぼ全区間をこの川に沿って走る三江線にとっては、まさに母なる川である。しかしその反面、一度この川が牙をむけば、三江線などひとたまりもない。雨上がりの強い陽射しの中、遠くの景色は霧に煙っていた。
駅に戻ると、ディーゼルカーが再びエンジンをうならせて待っていた。運転士は点検に余念がない。ほかの乗務員も集まっている。思ったよりも多い6人の客を乗せた午後の一番列車が発車して、石見川本の長い昼休みは終わった。
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